学生で線維筋痛症になった私の体験談

 

 ブログを閲覧してくださりありがとうございます.線維筋痛症を発症してから2年が経った,現在25歳,修論発表を終えたばかりの大学院生です.

 

 大学を卒業し,大学院修士1年の春から体調に変化があり,修士2年の春に線維筋痛症と診断されました.何度も何度も修了と就業を諦めそうになりましたが,様々な方の支えがあり,なんとか修了することができました.

 

 自分の症状は一般的な線維筋痛症とは少し異なるため,自分が線維筋痛症であることに納得できない日々が続きました.インターネットで線維筋痛症についてたくさん調べたり,入院などを通し今では自分は線維筋痛症であると考えています.

 

 自分の体験談が誰かの役に立つと良いなと思いブログを書くことにしました.

初期症状から診断までや,自分の主な症状,入院中の出来事や治療について書きたいと思います.

 

 

 線維筋痛症とは?

 

 線維筋痛症の説明としては,日本リウマチ財団のホームページを見ていただいたらわかりやすいと思います.

www.rheuma-net.or.jp

 

 簡単にまとめると,全身の痛みや疲労感などが慢性的に起こる病気です.検査マーカーはなく,身体の特徴的部位を圧迫して強い痛みを感じることと,3ヶ月以上続いていることが診断基準となっています.線維筋痛症がなぜ起こるか正確なことはまだわかっていないそうです.

 

 自分の線維筋痛症の症状

 

 線維筋痛症の主な自分の症状を書きます.症状には変動があり,季節によっても異なるため詳しくは発症から入院までを見ていただけると幸いです.

 線維筋痛症の症状で一番知られているのは痛みです.痛みの度合いは人それぞれであり,筋肉痛から血管にガラスが通るような痛みがある人までいるそうです.

私も筋肉痛が慢性的にあり,特に上半身の背中や,腕から指にかけて痛い時が多いです.

 

 ですが私が最も辛い症状は体の痛みよりも倦怠感でした.

 どのような倦怠感であるかを説明する事にいつも苦戦します.倦怠感がはじまると立っていられず横になり,息苦しくなります.まるでポケモンのHPが瀕死のような,インフルエンザの倦怠感だけがきたような,体中のエネルギーが0に近いような感じになります.横になっていてもきついので眠ってしまうのが一番楽です.睡眠後に多少良くなることはありますが,大抵はひどい倦怠感が月に1週間ほど続きます.

 筋肉痛も,ひどい時期は毎日全身に湿布を貼って寝ていました.ほぼ毎日体は痛いです。しかし倦怠感は生活ができなくなるため,一番の症状の悩みは倦怠感でした.

 

その他の症状を箇条書きで書きます.

 

  •  頭痛 もともと頭痛持ちではなかったが慢性的に頭痛がするようになった
  • 足の冷え 夏でも足がとにかく冷える
  • 鬱 線維筋痛症の症状なのか,病気で辛いからかわからないが抑鬱になることが多くなった
  • ロディニア 夜にアロディニアになることが多い.少し触られただけで痛みがあったり,殴られていないのに殴られたような痛みが起こることがある.
  • 睡眠障害 夜の12時に寝ても次の日の15時や16時まで寝てしまう
  • 過敏性腸症候群 ひどい便秘になったり,逆に一ヶ月以上下痢が続くことがある
  • 37度前後の熱が1ヶ月以上続く
  • レストレスレッグス症候群  就寝前など足を動かさないと気が済まない

 

発症から診断,入院まで

発症

 始めに異変を感じたのは修士に入学したばかりの春です.旅行から帰ると,倦怠感や喉周辺の違和感が一週間ほどありました.4月から9月まで,倦怠感,頭痛,喉の違和感,昼寝の後の体の熱感が月に1週間くらいあり,PMS月経前症候群)などを疑っていました.

 9月に急激に体調が悪くなった日があります.前日の夜中,背中と腰の痛みで目が覚め,しばらく眠れないほど激痛がありました.痛みは次の日には引きましたが,いつものように朝学校へ行くと,耐えられないほどの眠気や倦怠感に襲われてしまい,その日はすぐに帰宅しました.この時は,きっと疲労が原因で一週間くらい休めば良くなるだろうと考えていました.しかし2週間立っても回復せず,内科を受診しました.血液検査の結果,炎症反応を示すCRP値が高いことと抗核抗体が40倍であると言われました.そこで大学病院の膠原病内科に紹介状を書いてもらい受診しましたが,膠原病は陰性で大学病院では診断がつきませんでした.なぜこんなにも毎日苦しいのに病気がわからないのか,大学病院の受診が終了した後はかなりショックでした.

 私の症状には特徴がありました.それは人と会うと症状が軽減するということです.軽減するというよりは倦怠感や痛みから意識がそれるような感覚です.人と別れた後に一人になると症状は悪化します.診断名がつかず,気分で体調が変動することから,自分が感じる倦怠感はやる気がないからだと思うようになりました.余計に頑張らなければいけないと,体調がきつい中研究室に通いましたが,12月から全身の筋肉痛も顕著に現れ,だんだんと鬱になり研究室に全く行かない日々が3月まで続きました.

 

3月に,体の痛みからやっと線維筋痛症を知り,県内のペインクリニックを受診しました.そこで線維筋痛症であるだろうと診断されました.1年近く悩んできた症状に病名がつき,とりあえず嬉しかったです.病院ではトリガー注射と薬(ノイロトロピン,プレがバリン,サインバルダ)を処方されました.先生に薬を一年間飲み続ければ治ると言われ安心しました.実際に薬を飲み始めてからは体の痛みや倦怠感もかなり良くなりました.

 

しかし5月のプレゼンの後に再び激しい倦怠感に襲われました.体の痛みはあまりなく,倦怠感の酷さをなんとかしてほしいと病院を受診しましたが,あまり倦怠感に対しての処置がなく,また自分自身本当に繊維筋痛症であるか疑っていたため,セカンドオピニオンで他の病院を受診することにしました.

 

入院

セカンドオピニオンで尋ねたのは大きい病院の総合診療科です.大学病院で線維筋痛症について勉強してこられた先生でした.

先生から聞く線維筋痛症の話は,インターネットでいくら調べても載っていないような話でした.

線維筋痛症は心の生活習慣病である」と最初に言われました.

線維筋痛症という病気は、これまでのストレスが自分の中に蓄積され、生き方に影響し、少しのストレスで体の痛みが起こるようになってしまっている。だから心理療法で昔の辛かった記憶などを見返して生き方にどう影響しているかを見つめ直すと言われ,入院を勧められました.私は初めて聞くような線維筋痛症の話にとても驚き,入院の提案を1週間考えると言い病院を後にしました.しかし,最初に受診した病院で,線維筋痛症の倦怠感が強いのはストレスが大きいから精神科を受診するようにと言われたことや,何より1年以上苦しんでいるため入院することに決めました.

 

入院してからは様々な検査,毎日作業療法士理学療法士によるマッサージやリハビリ,週に3回の先生との心理面接が主でした.あらゆる検査を行いましたが全て異常がありませんでした.

 

心理面接では内省をするようにと言われました.内省とは自分の過去に向き合ってその時どう感じたかなどを書き出す行為だそうです.私は高校退学など,これまでに辛いことがまあまああったと思いますが,今現在は病気以外にストレスがないため,内省をやる意味がわかりませんでした.しかし自分が線維筋痛症であると信じるようになったのはこの内省の影響でした.内省の前に先生から「内省後は体調が悪くなる人が多い」と言われ,そんなことはないと思っていましたが,実際に全身の痛みが悪化しました.

 内省を通して,過去のトラウマから自分が過剰にストレスを感じすぎてしまう考え方になっていることに気づきました.具体的には自尊心の低さや,周りの人間が自分を嫌いであると勝手に考えていること,常に見張られているような不安を感じていることです.気づけば一日中,未来や周囲に不安を感じて過ごし,ストレスを感じると痛みや倦怠感に襲われます.過去の体験が原因で病気が起きていることや,自分の考え方を変えなければいけないことにはかなりショックでした.けれどもこの病気は今までの辛い考え方をもっと楽にしていいということだとプラスに捉え,前向きにやっていこうと思いました.

 

退院から現在

 入院中,人と話したりお風呂に入ると体調が少し良いという話を先生にしたところ,線維筋痛症の患者さんの中ではよくある話とおっしゃられました.退院後に一人でまた生活をすることに不安を感じていた私は,同じ修士2年の遠方に住む彼氏に無理をお願いし,卒業までの約半年,大学がある県をはなれ一緒に住むことになりました.同棲を初めて数ヶ月はかなり体調が良かったです.まれに倦怠感がある程度でした.しかし修士の研究が忙しくなった12月から体調はかなり悪化し,毎日睡眠障害や倦怠感が酷くなりました.

 私は退院後から薬をやめていました.私の担当医があまり薬に積極的でなかったことや,入院中薬を飲んでいても体調が酷く薬の効果を感じられなかったためです.ですが修士の研究で体調が悪化した1月のある日,すがるおもいでサインバルタを服用しました.次の日,頭がものすごくスッキリし,今まで背負っていたおもい荷物を下ろしたような感覚になりました.その日から睡眠障害が治り,倦怠感も圧倒的に減りました(副作用や抑うつが強くなりましたが).他にもらっていたプレガバリン,ノイロトロピンは自分にはあっておらずやめました.今は薬の力と一緒に住む彼に助けられながらなんとか生活しています.

 

 

最後に

 線維筋痛症になってから現在2年が経ちました.ほぼ毎日体調にハンデを背負いながら健康な人と同じように働かなければいけないことに挫けそうになります.特に診断名がつかない時期は本当に何度も修了と就職を諦めそうになりました.

診断名がつかなかった時,私が特に救われたのは,具合が悪いということを信じてくれる友達でした.自分自身本当に病気であるのかに自信が全くなく,診断もされていないのに休むことに対して非常に罪悪感がありました.今まで気のせいだと言われることも多く,人の目を気にして休むということができませんでした.このような性格も病気の原因の一つに感じます.その中で具合が悪いことを信じ休むように声をかけてくれた方々に背中を押され,治療に専念することができました.いつ治るかわからない病気ですが,支えてくれる方々に本当に感謝し,なるべく過剰な不安を感じないように前向きに生きていこうとおもいます.

 そして,長々と自分の体験談を書きましたが,慢性疼痛や私のように立てないほどの倦怠感に悩み診断がつかない方,線維筋痛症の方の参考になれたらうれいしです.